nagifilm

フィルムカメラと写真のブログ

撮るという行為 -BRONICA S2

f:id:seiya0211:20200502112524j:plain

重い、デカい、うるさい…

知り合いからネガティブな情報ばかり聞いていていて、このカメラだけは買わないぞ!と意気込んでいたのだが、偶然YouTubeで撮影動画を見た時にファインダーに映るドラマティックな光に感動しノックダウン。

その日のうちにヤ○オクで即購入したカメラがこちら

 

f:id:seiya0211:20200502112542j:plain

zenza BRONICA S2

うん、噂通りとても重い。標準レンズ込みで1.8kg。2Lのペットボトルとほぼ同じかぁ…

特に今まで使っていた中判カメラが小型・軽量のMAMIYA6だったので、初めて手にしたときは「こんなん外に持ち出せるのか?」というのが正直な感想だった。

形が似ているハッセルブラッドなどを想像してこのカメラを手にすると、スマートとは程遠い横幅の広さに驚く。どこを見ても触っても質実剛健をそのまま物質化したかのような堅牢な作りで、ちょっと壁にぶつけたくらいではびくともしなさそう。

 

届いて早速一番期待をしていたファインダーを覗いてみる。

f:id:seiya0211:20200502112616j:plain

この明るさ、美しさ、ここだけでこのカメラの魅力の半分以上は占めているのではないだろうか?

以前に同じウエストレベルファインダーのRollei cordⅣを所有していたのだが、スクリーンの四隅がだいぶ暗く、正直ファインダーを覗く楽しさと言うものは感じられなかった。その他の機構もどこか古さを感じてしまって使用頻度が減り、結局手放してしまった。

このBRONICAも同じ運命を辿ったら辛いなぁと思っていたのだが、このスクリーンの美しさならいつまでも見ていられる。

f:id:seiya0211:20200502112607j:plain

f:id:seiya0211:20200502112600j:plain

大きくて存在感があるのだが割と丸っこいフォルムで可愛らしさも感じる。最初に見たときにカブトムシっぽいなーと思った。

 

まずはフィルムを入れずに巻き上げを行ってみる。

カリカカリカリ…バキッ!」

いや本当に故障したかと思って肝が冷えた。どうやらシャッターチャージはこの豪快さのある音で正常らしい。そして緊張混じりの震える手でシャッターボタンを押す。

「ガシャコーン」

ものすごい爆音。でも想像していた重苦しい機械音と言うわけではなく、軽快でリズミカルな音が響く感じ。音と同時にカメラ本体が若干跳ね上がるような感触があり気持ちがいい。フィルムを入れるまでの2日間くらいはひらすら空シャッターを切って遊んでいた。

 

中古で購入したこのカメラ、カメラの機能としては問題なかったのだが未整備BRONICAにありがちなモルト劣化で、カメラ内部のそこかしこに黒いカスが散らばりスクリーンは指で押すとペコペコと浮き上がる有様だった。

スクリーン周りは精密機構部ではないので、モルト交換を自分でやってしまおうと思いAmazonモルトを購入。

ネットでいくら調べても適正なモルトの厚みが出てこず、仕方ないので少し厚めの3mm厚を選択。スクリーンが指で押して動かない位置で無限遠のピントが出るようなので、厚めのモルトで下に押し付けるような形になれば問題はないはず…

割と雑な作業で綺麗ではない貼り方にはなってしまったが、とりあえす問題はなさそう。ビスで止めちゃえば見えないしね!(笑)

 

ようやくまともな形で使用可能になったBRONICA。この重さ、大きさにも関わらずスクリーンに映る光が見たくて朝・昼・夕、様々な時間帯で外へ持ち出し色々な物にピントを合わせてみる。

ヘリコイドを回し、じわーっと風景がシャープになっていく様は官能すら感じる。デジタル一眼レフしか使っていなかったときにはカメラでこんな体験ができるとは思いもしなかった。

 

ちなみに今回購入した物には標準レンズのNikkor 75mmの他にZENZANON 150mmが付属していた。曇りなく綺麗なレンズで使い勝手も良さそう。ただ最短撮影距離が長くあまり寄れないのが難点。いや、Nikkor 75mmが優秀すぎるだけか。

試しに150mmを本体に装着してみる。

f:id:seiya0211:20200502112624j:plain

うん、これはどう見ても大砲。重いBRONICAがさらに重量級になった。

とにかく魅力溢れるカメラで、「こいつを使いこなしてやろう!」という気分にさせられる。写真を楽しむと言うより撮るという行為そのものを魅力にするカメラ。

今まで気にっていたMAMIYA6とは対極にあるカメラだけれど、この先どんな景色を見せてくれるのか楽しみだ。