街と写真
最近なんとなく感じるのだけれど、自分は写真が好きというより街が好きなのかもしれない。
立派なデジカメもフィルムカメラも持っているけれど、今まで仕事以外でアレを撮りに行こうとか、誰かを撮りたいと思ってことがない。
いっときプライベートでポートレートを撮ってみようかと思って友人数人を中判フィルムで撮ってみたが、特に充実感があるわけではなく終わってしまった。
仕事や個人で受けている案件で写真を依頼されると嬉しいし、依頼者が喜んでくれるような写真を撮ろうと奮起できるのだけど、自分の為となるとあまり気持ちが入らない。
写真に関しては意外と受動的な人間なのかもしれない。
しかし、18歳でカメラを手にしてから街を撮ることはずっと続けている。
特にフィルムカメラを持ってからは街を撮ることが多くなった。
今までカメラを持って街を歩くとテンションが上がるので、街スナップが好きなのかと思っていた。
たが、先日カメラを持たずに街を歩く事があったのだが、カメラを持っている時と同じようにテンションが上がったので、自分はカメラ、写真が好きなのではなく、単に街が好きなのだという結論に達した。
人通りの多くない、けれど住宅街ではないような、生活感と公共感が入り混じってような中途半端な街が好きで、歩きながらいろいろな物に目を向けていると世界が存在している安心感というか、自分の存在が許されているような不思議な気分になる。
自分にとっては人とコミュニケーションをとるよりも、知らない街を歩く方が癒されるような感覚がある。
そしてこの傾向は年を取るに従って増している(笑)
きっと多くの人にもこの感覚はあるのだろうけど、自分は少し感じ方が強いのかもしれない。
写真を始めた頃にあった「写真で自分を表現しなければいけない」みたいなものはもう微塵もなく、ただ自分の精神的健康のために撮っている。
久しぶりのブログ更新なのに自省録のような文章になってしまったが、これからも毒にも薬にもならないような写真を撮り続けるんだと思う。